どどめ色の真実

ジャンルばらばらの闇鍋ブログでございます。

【うみねこ】難易度高めのLast note(A面)

  プレイ総時間100時間を超えるうみねこをクリアし考察の海に揉まれた歴戦のうみねこプレイヤーたるもの、与えられた真相に納得するだけでは飽き足らぬ。
 そんな私の考察のようなものです。
f:id:Equisetum:20200412201235p:plain  ※この記事には「うみねこのなく頃に咲」のネタバレが含まれます。ご容赦を。

 結論から言うと、駒の魔女ウィッチ・オブ・ザ・ピースの正体は戦人の育ての親右代宮明日夢です。ちゃんと戦人達もそこに行き着きますし、詳しい事情は明日夢が語ってくれます。そもそも大抵のプレイヤーは出題時点で明日夢を思いつくのではないでしょうか。話を聞いた三人は明日夢の心を知り、ひとつの物語が終わっていくのでした。

 めでたしめでたし。

 ……本当に?

■"IF"という救い


 ピースの能力は「対象の存在自体を抹消し、自分がその存在に成り代わる」というものです。(二次創作小説にそういうジャンルありますよね。)云わば設定改変能力、フェザリーヌが生み出したというのも納得がいく能力です。

 明日夢というのは本編開始時に既に死亡している為、本来ならば絶対に登場できない人物です。また、戦人の産みの親が霧江だったという話は霧江や縁寿にとっては救いになるかもしれませんが、明日夢にとっては違います。留弗夫も霧江に気遣い明日夢の話を極力避けている描写があります。

 明日夢の立場で考えれば「自分の存在が欠けたことで留弗夫一家がひとつになった」とも取れます。 

 ……しかし、私が真に殺したかった者たちには、私はわずかほどの情けも容赦もなく、その心など無視して、このゲーム盤より、抹殺したッ。

 の台詞からも分かるようにその恨みは相当深い。しかも"者"ではなく"者たち"。霧江だけでなく娘である縁寿も憎悪の対象になっています。

 そんな明日夢にとって。「もし自分が生きていたら」という世界を見ることができるのは救いであり希望です。その世界がファンタジーに過ぎないと自覚している辺りが悲痛ではありますが。「EP1~8でも登場しており、その時点から人を消す力を持っていた(意訳)」というと特別な存在のように思えますが、これは叙述トリックのようなものです。多分明日夢が消せるのは特定の人物(霧江、縁寿、金蔵、源次、紗音、嘉音、ベアト)だけです。しかも本人の意志とは関係なしに。

 みんな笑顔。誰も不幸な者などいない。全員が幸せでいっぱいの夜だった……。

 彼らを消した後のこの文がなんとも物哀しい……。

■死後の尊厳


  Last noteでは死後の尊厳について強く語られます。ベアトは本編中、いかに残酷な殺し方をするかという死の過程に拘りを見せてきました。対してピースの殺し方はあっさりしていますが、存在が消える為誰にも悲しまれないという辱めを与えます。

 この辺りの価値観は人それぞれでしょう。死んだらそれで終わり、という人生観の人にとってはピースの殺し方はそれほど酷くは見えないのではないでしょうか。

 重要なのは、戦人、ベアト、縁寿が『死後の尊厳を奪われること』を重く捉えているという点です。

 『うみねこのなく頃に』では、あの夜の全てを猫箱に閉ざしてしまったが為に、右代宮家関係者の尊厳は長い間穢され続けてきました。あることないこと吹聴され、根拠なき噂が真実となり、捻じ曲げられ世間に広まる結果となりました。

 身も蓋もない話をしてしまうと、関係者の殆どは六軒島爆発事故で死亡しています。死を終わりと考えれば彼らに悲しみはありません。

 でも、それを良しとしないのが『うみねこのなく頃に』です。だからこそ戦人はピースの行為を「無残」と言い、ベアトも「おぞましい」と評したのでしょう。

 そう考えると、黄金郷とは「死者の尊厳を守る為の理想郷」なのかもしれません。死んで終わりではなく、意志は確かに残っている。その考え方から死者への思いやりと敬意が生まれる……のかもしれません。

■"私"は、だぁれ?


  『うみねこのなく頃に』という作品から生存の可能性を抹消された明日夢は、魔女ピースとして戦人達の前に姿を現します。

 うみねこ世界では安田、真里亞、絵羽など、本来の自分とは異なるもうひとりの存在として魔女の姿が存在します。心の一部の擬人化として、幻想の住人として物語中に現れます。
 しかし明日夢とピースの場合は違います。可能性の抹消という意味で関連する能力はあるものの、明日夢の心の一部といった感じではありません。姿を現す為にピースの皮を被ったとでも言いましょうか。明日夢からピースが生まれた訳ではなく、ピースの力を借りているとした方がしっくりきます。
 (明日夢からピースが生まれた可能性について。例えば生前明日夢がピースというキャラを創作して、安田が真里亞にそうしたように戦人に語った場合。八城十八の中にその記憶があったのなら「フェザリーヌが主」発言にも納得が出来ます。)

 ウィッチ・オブ・ザ・ピース。欠片の魔女。その正体は特定の誰かではなく、クレルのように「登場できなかった誰かの代役」です。しかしその中身は明日夢だけとは限らないのではないでしょうか。最後にピース自身も「おかしな人間の駒をやらされたものでピス」と言っていました。

 例えば既に死亡している金蔵の妻だったり、19年前の赤ん坊と一緒に崖から落ちた使用人だったり、九羽鳥庵ベアトだったり、楼座の生き別れた旦那だったり、霞おばさんだったり。"もしも"そんな人々が六軒島を訪れて事件を起こしたのなら……。

 いない筈の「19人目」に誰かをいれる許可が出たのなら、それだけで新しい物語が作れるでしょう。

 難易度高めのLast noteに対する私の回答のひとつは、

「真実はひとつじゃない。真実は想像の数だけ無限に増えていく。ひとつの真実で散ってしまった真相から種が生まれ、芽吹き、また咲き誇る」

 です。

 ちょっとカッコつけた言い回しをしてみました。

(あと、二次創作とかどんどんやってね☆という竜騎士先生のメッセージ。)