私は古手梨花犯人説を公開しているがこの場合の犯人とは黒幕、全ての元凶という意味であり、個々の惨劇という意味ではない。今回はその面での犯人について推理していく。
これが私の……青き真実ッ!!!(←うみねこ要素)
犯人の定義は「H173を注射した人物であり、発症者ではない。
旧業問わずひぐらしにおける推理は、登場人物がどのように動いているか、何が起こっているか考えることが重要になる。事件が起きて、犯人を見つけて、それで終わりではない。視聴者に見えない部分で何が起きているかは推察するしかない以上、かなり無茶な推理も可能になってしまう。極端な話、謎の人物XがH173を入手し暗躍していたとしても通ってしまう。
17話の描写によるとH173(強制的にL5にする薬)の注射が一本紛失しているようである。もしこれを持ち出して他者の症状を悪化させた人物がいるとすれば、それを犯人と呼んでもいいだろう。
■犯人の正体
ではひぐらし業で起きる『五年目の惨劇』を起こしている犯人は誰なのか。
犯人は『古手梨花』である。
ただし『業の古手梨花』は『祭囃し編後の古手梨花』とは別人である。
私は「業の雛見沢は自殺した梨花に自分の罪を自覚させるための世界」と考察していた。罪とは繰り返す者としての意識が抜けていないこと。業の世界は真梨花の夢のようなものであり「自分が犯人である世界」を見せられているという状況にある。
業梨花は雛見沢をゲーム盤、人を駒と捉えている。
その感情、考え方、世界観はなく頃にシリーズにおいて魔女と呼ばれている。
厳密に言えば犯人は古手梨花……の中の、魔女。つまりは百年で積み上げた業そのもの。梨花であって梨花ではない存在。ひぐらし業はその魔女を殺すのが目的なのではないか。
例えば賽殺し編では平行世界の沙都子を「親友と顔が似ているだけの別人」と見なし、傷つけることに罪悪感を覚えてはいなかった。この根底にあるのは繰り返す者としての自覚。ここは自分の世界じゃないと判断した時、業梨花は犯人になり得る。
自分が魔女であるという自覚があれば、業梨花は部活メンバーをも殺せる。なぜなら顔が似ているだけで仲間じゃないから。
もしも真梨花が「自分が犯人である」ことに気づいたら「自分はそんなことしない」と考えるだろう。そこから一歩踏み出して「何故この世界の自分(業梨花)は犯人なのか」、そのホワイダニットまで推理できれば「繰り返す者としての意識」と向き合わなければならない。
■言い訳タイム
私は無意識のうちに梨花を容疑者から外していた。梨花は奇跡を起こす側だと思い込んでいた。うみねこにおいては梨花から派生した魔女ベルンカステルが奇跡の擬人化として登場しているので、余計にその印象が強い。
だが魔女というのは概念の擬人化であり、その外見はあくまでガワに過ぎない。奇跡の魔女によく似ているが、それは見た目だけ。ひぐらし業で「絶対の意志」を持つ存在が梨花であってもおかしくはない。
むしろ魔女慣れしているほど騙されやすい、ということになる。
梨花に死の記憶が残るのなら、どうして鬼騙し編と綿騙し編で自分を殺した相手を思い出さないのか。(祟騙し編から記憶保持できるようになった描写があるが、本当?)
視聴者に見せられる情報は少なく、梨花はたびたび犯人の意志に弄ばれているかのような動きをする。
もし梨花が犯人だとすれば、それらは全部意図されたことなのではないだろうか。梨花は視聴者の味方のように振る舞っているだけなのではないだろうか。
有名AVG『ポートピア連続殺人事件』のヤスのように。
とりあえず動機(Why)については考えず、事象だけを見て推理を進め「梨花の単独犯で説明ができる」と判断した。
ただ、私は梨花が目的のために惨劇を起こすような人物だとは思えなかった。それは沙都子も同じこと。仲間を信じることで惨劇を乗り越えた仲間たちがそんなことをするとは思いたくない。綺麗事だと言われようが、嫌だ。
そこで自説と組み合わせ、業の梨花は原作梨花とは別人なのではという推理が完成した。最初は強引だと思ったが、なかなか面白い説になったんじゃないだろうか。アニメで真相が明かされれば消え去るような妄想だという自覚はある。それでも、今この時を楽しむのが考察の醍醐味だと思うよ、私は。
■ひぐらし業のルール
H173を注射される人間の規則性
猫騙し編では過程が省かれているのでわからないが、最初の三編の発症者には共通点が見いだせる。それは、業梨花視点で失敗の元凶だということ。
鬼騙し編ではレナが鉄平とリナを殺しているのではないか、と思った時点で。
綿騙し編では詩音がお魎と公由を殺しているのではないか、と思った時点で。
祟騙し編では大石から虐待が無かったことを告げられた時点で。
業梨花は「この世界は失敗した」と諦めて、その元凶だと判断した相手にH173を注射した。あくまでも業梨花の主観での元凶なので理不尽なものが多い。そこについては各編推理で説明する。
梨花が狙われる理由
発症者がことごとく梨花を狙う理由についても、直接注射をしたので敵とみなしている、とすれば理解できる。また「寄生虫」「ウジ虫病」といった雛見沢症候群に関連しそうな情報を知り得ている人物は限られており、例えばそれの予防薬と言えば注射を受け入れるかもしれない。梨花はあまりにも雛見沢住民の信頼を得すぎている。
物語の時系列
旧ひぐらしの八編は必ずしも順番に起きたとは限らない。
似た世界があるからこそ梨花は自分の経験則を活かせる。
しかしひぐらし業では1話から現在まで時系列に沿って進んでいる。鬼騙し編2話での羽入との会話を聞く限りあれが最初であり、猫騙し編の直前が祟騙し編であったと明示されている。別の世界が挟まっている可能性はあるが、最初と最後は決まっている。
これがもう一人の繰り返す者、沙都子の動きに大きく関わってくる。
沙都子の行動原理
17話の最後で沙都子もまた、梨花と同じようにループしているのではないか、という説が濃厚になった。沙都子が犯人ならば言動の怪しさに合点がいく。ただ、ループしているからといって犯人だとは限らない。
沙都子は業梨花の凶行を止めるのが目的であり、殺人を犯してはいない。……と仮定すると怪しい言動にも筋が通る。気がする。そして、業梨花が世界を諦めた時点で凶行に及ぶことを知っている。
この辺りは猫騙し編の推理の時に述べるが、つまり業梨花が雛見沢への郷土愛に目覚めたように見えたのは、もう一人の繰り返す者沙都子を炙り出すための罠である。
フラッシュバック
ひぐらし業の不思議要素。旧ひぐらしでもあったことだが、業梨花はこのことを知らない。業梨花にとって他の人物の行動は予測できるもののはずだが、フラッシュバックが起きることによりその予測を裏切る。